
風の冷たさと、芽吹のぬくもりと
文|森 健太(ロサルゴサ代表) 春の訪れを感じ始めたある日、 まだ冬の名残をとどめた風の中で、 小さな新芽が静かに顔を出していました。 ロサルゴサの畑では、剪定や草刈りといった 一見、地味で根気のいる作業が続きます。 枝を切るたびに、 棘が指先にチクチクと刺さり、 何度も手を止めたくなるような、 そんな痛みもあります。 それでも、その先に咲く やわらかで力強いハマナスの花を思い描くと、 不思議と、心の中にぬくもりが灯るのです。 華やかさの裏にある、 静かな営み。 ロサルゴサの畑は、 機械に任せることなく、 すべて私自身の手で整えています。 枝ぶりを見て、風の流れを感じながら、 “今、この一枝に何が必要か”を見極める。 そうして芽吹いた小さな命が、 やがて花となり、香りとなり、 私たちの製品として、 誰かの肌と心を優しく包んでいきます。 風の冷たさと、芽吹きのぬくもり。 そのどちらも受け入れながら、 今日もまた、ロサルゴサの畑に立っています。